2016年5月27日金曜日

3章 主観と世界

時空形象・時空パターン及び物理形象・物理パターンと世界

時空に含まれている形象や形象パターンを時空形象や時空パターンと呼ぶ事にする。2章で述べた様に時空にはあらゆる形象パターンが含まれているので、時空にはあらゆる時空パターンが含まれていると言える。
 また、物理現象を構成する形象や形象パターンを物理形象や物理パターンと呼ぶ事にする。なお、物理形象や物理パターンは時空に含まれているので時空形象や時空パターンの一種である。
 ところでこの論文にはしばしば世界と言う単語が出てくるが、それは一般的な解釈の通りこの世界や宇宙と言う意味で捉えて問題ない。また世界は物理現象の総体で出来ていると考えられるので現象形象仮説が正しい場合は世界は物理パターンの総体だと定義する事も出来る。

主観(知覚)形象・主観(知覚)パターン・及び外部形象・外部パターン

科学的に考えるなら物理現象を再現する事で我々の体や脳、そして意識や主観も再現可能なはずである。従って現象形象仮説が正しい場合、形象パターンによって主観の再現が可能なはずである。主観の構成に関係する形象や形象パターンを主観形象や主観パターン、または知覚形象や知覚パターンと呼ぶ事にする。
 また、物理形象や物理パターンのうち、主観形象や主観パターン以外の形象や形象パターンを外部形象や外部パターンと呼ぶことにする。一般的に考えられている自分以外の全て、外界や環境がこれに相当する。

物理現象は主観に依存して解釈される

無数に存在する時空パターンの中のどの部分が物理パターンなのかは、主観的判断に依存する。なぜなら何らかの解釈をしない限りは時空には均一な空間と時間が広がっているだけだからだ。

主観パターンの自動選択・世界の自動選択

時空には無数の時空パターンが含まれているが、このうち主観パターンを含む形象パターンだけが物理パターンになる。これを主観パターンの自動選択、または世界の自動選択、あるいは単に選択と言う表現をする事にする。またこれが時空パターンの一部だけが物理現象になるメカニズムだと言える。
 例としてある瞬間の主観パターンが次の瞬間にどうなるかを考えてみよう。次の瞬間にも時空には無数の時空形象がある。そして次の瞬間は時間が経つ事により自動的にやってくる。そのため、無数の時空形象が主観パターンの続きになれるかどうか試される状況があると言える。そして主観が維持できる形象パターンだけが主観パターンの続きを構成する事になる。そして主観が維持されない形象パターンは基本的に主観に認識されないため、その主観にとっては元々存在していない事と同じになる。
 なおこの時、主観が維持できる形象パターンが複数あるなら主観パターンや物理パターンが複数発生し、世界が分裂していくと言える。

なぜ物理法則があるか

これまで物理現象が形象パターンで表せる事は述べたが、なぜそれらの形象パターンが理論化出来る様な規則性を持っているのかは説明しなかった。ここではこれを「主観が規則を必要とする」事と「観測が規則を必要とする」として説明する。

主観が規則を必要とする

主観が成立するには複雑な制御機能が必要であり、それは規則性がなければ成立し得ない。例えば今この世界において物理法則を無視して形象がランダムに変化した場合、我々の脳もランダムに変化する事になるので主観は維持されないはずだ。従って様々な時空パターンがある中、規則性のある形象パターンだけが主観パターンとして自動選択の対象になる。

観測が規則を必要とする

主観が存在するだけでは世界は認識されない。主観が観測をしないと世界が認識されない。つまり主観パターンは観測のパターンを含んでいる必要がある。そして観測が成立するには前提や規則が必要になる。例えば観測は何かと何かを比べる事で成立するため、主体、客体、比較対象の3つ以上の形象が必要である。またそれぞれの形象が仮にランダムな変形をしていては何がどう変わったのか測定できないため、それぞれの形象が規則性を持つ必要がある。この様に観測が成立するために規則が必要な事が主観パターンが規則性を持つ一因だと言える。

精密で絶対的な物理法則が存在するとは限らない

完全に精密に守られる物理法則や、全てを説明できる物理法則は必ずしも存在するとは限らない。なぜならこれまで議論してきた内容が正しいなら時空に物理現象が含まれているかどうかは時空に主観パターンが含まれるかどうかに依存する。つまり主観さえ発生して世界を認識してしまえばその主観にとっての世界は存在するのであり、その時に物理法則がおかしいからこれは世界ではないと主張するのは筋が通らないからだ。
 逆に言えばどの様な条件なら主観が構成されるのかを考える事は、物理現象や物理法則について考える際の新しい視点になり得るだろう。


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